仙台市主催の防災ジオラマ授業、後半は5年生の授業が続きます。
今回の会場、折立小学校は仙台市内でも交通の要所、JR線、国道・環状線、東北自動車道が交差する場所、仙台宮城ICのすぐそばにある小学校です。
都市緑地保全地区の蕃山(ばんざん:標高356m)と人工構造物の織り成す姿が面白いジオラマとなりました。
仙台市は河岸段丘に作られた街とも言われていますが、折立小学校区を横切るように広瀬川が流れています。仙台市のご当地ソング「青葉城恋唄(さとう宗幸さん)」にも出てくる「瀬音ゆかしき」という歌詞のように、浅い流れが、川底の石や岩に当たり爽やかな音を立てる「瀬音」が心地よい、親水の文化が折立小学校の地域活動にもあるようです。
近くには日本初の水力発電所「三居沢発電所」があるところからも、川に由来した文化・歴史がある地区ということがわかりますね!
また校長先生には「折立」という地名は、西側にそびえる蕃山(ジオラマ写真の左下に位置)が屏風を折り立てたようにそびえ立っていることに由来していると教えていただきました。
この段丘の上に立つ折立小学校。
実はあまり知られていませんが、東日本大震災では内陸部の小学校であるものの、3年間休校を余儀なくされた小学校です(その間は広瀬川近くにある折立中学校に間借りをしていました)。校舎の損傷だけではなく、周辺の家屋が傾くなどの被害、土砂災害など、この災害を知るにもジオラマで地形を知ることがとても大切。
さて、子どもたちはどんなことに気づいてくれたでしょうか?
授業は、ジオラマってなんだろう?どうして段ボールなの?というお話からスタートします。
段ボールジオラマでの防災教育をスタートしたきっかけや間借りをしている学校へ設置された段ボールの家具などを見た子どもたちからは「知っている!」「見たことある!」「すごいっ!」「全部段ボールなの??」それぞれの気づきを言葉にしてくれました。
今回のジオラマは入り組んでいる地形が多く、枠から外すには協力が必要。子どもたちは協力しながら楽しく枠から外し、組み上げていきます。折立地区は「坂道が多い」といいながら、段を重ねる度に「これ20mでしょ!えぇ~?!」と、毎日が山登りをしているみたい、なんていう声も(今回のジオラマは段ボール5mmの厚み1枚分が標高20mとなっています)。何気なく歩いている坂道もジオラマにしてみると見えてくる景色や防災意識が変わります。
土地の「高さ」と、これまで学んだ雨や川に関する「理科」の知識を再確認・再認識する子どもたち。
『雨や川の水は高い所から、低いところに流れる』
この日常の自然のはたらきは、災害時には人の暮らしに影響を及ぼすことがハザードマップとジオラマの地形から読み取れます。
東日本大震災時の土砂災害も、起きやすい場所に学校が建っていることも地形から見えてきました。また、広瀬川は低く土地を削って流れているので外水氾濫のハザードは想定されていません。これもジオラマにすると直感的に感じることが出来ますね。
その中で想定される洪水ハザードは内水氾濫。綺麗に並ぶ道路の街区を見ると解る通り、新興住宅街となる標高の低い地域では通学路に浸水被害の実績があることがわかりました。
ジオラマの枠は外したら横に重ねていきますが、この枠が作り出す段ボールジオラマのパラレルワールド(逆ジオラマ?)に気がついて観察する様子や、モニターに表示された平面地図と見比べる様子なども段ボールジオラマ授業ならではの風景。
段ボールジオラマの学習は、暮らしと学びを結び付け、災害を地形から理解しながらも怖がるだけではなく、その地形と共に楽しく暮らしていくための学習です。
親水公園や緑地公園、道路網や新興住宅街と近代的なまちづくりが進む折立地区。災害に対する学びを活かして、えがお溢れる学校、地域になっていきますように!