「オジサンたちに津波からの逃げ道を教えてあげてー!」という号令のもと、子供たちに手を引かれて海辺の高台へダッシュ。
―そこで目にしたものは、あの日の光景と、10年後の景色でした。
6月12日(土)、今回のRethink PROJECT 段ボールジオラマ防災授業は、ジオラマワークショップとまち歩きの2部構成。宮城県石巻市の日和山周辺に住む子供たちとその保護者の方々に参加いただき、JTさん、3.11みらいサポートさん、放課後こどもクラブBremenさんとの共催、石巻市・石巻市教育委員会後援による「放課後子ども教室」として実施されました。会場となった門脇地区一帯は津波で多くの家が流され、いまは何軒かの住宅とともに、海側には津波復興祈念公園が広がっています。
復興住宅集会所でジオラマづくり
第1部では、1/3000の段ボールジオラマを使って、周辺の地形とリスクについて学びました。今回は比較的小さなお子さんが多く、まずは楽しく組み立てながら、どこが高くてどこが低いのか、大まかな高低差を見ていきます。できあがったジオラマを囲みながら、「ここが危なそう」と思う場所に付箋を貼っていき、なぜそう思ったのかを聞きながら、身の回りの危険について子供たち自身に考えてもらいました。
ミニジオラマを持ってまち歩き
第2部ではみらいサポートさんの先導で、先ほど作ったミニジオラマを持ちながら、みんなで周辺を歩きました。津波に耐えて残った土蔵を見て浸水の深さを実感し、神社へと続く石段の下で津波の到達地点を確認。道中、アプリでその地点の浸水状況をARで体感したり、避難や防災に関する案内標識をいくつ見つけられるか競ったりしながらワイワイと歩きます。そんな情報をミニジオラマにマッピングしていくと、防災マップの骨格が自然と浮かび上がってきました。
最後は皆で、震災遺構となっている門脇小学校裏の高台へ。子供たちは以前、みらいサポートさんでの震災学習で行ったことがあったそうです。割れたガラス窓や火災の燃え跡、教卓を橋にして渡って逃げたという校舎と裏山との隙間などが、いまも生々しく当時の様子を物語っています。
そこから避難目標地点となっている場所までもう少し上ると、眼下には門脇地区から海までのパノラマが広がっていました。県の津波伝承館が建つ復興祈念公園がきれいに整備され、新しい道路や大きな橋もでき上がりつつあります。その光景は10年という歳月を感じさせる一方で、ついこの間のことのように、あの時のことを思い起こさせます。
10年。そこにいた子供たちの誰もが震災を知りません。「地震が来たらどうすんだっけ?」と聞かれ、一人の男の子が眼下に向かって叫びました。「おーい、はやく逃げろぉー!」
私たちにできること、それは伝えていくことですね。
◎3.11みらいサポートさんの震災伝承交流施設「MEET門脇」
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◎日本たばこ産業株式会社(JT)様が推進する、「視点を変えれば、世の中は変わる。」をキーワードに掲げた「Rethink PROJECT(リシンク・プロジェクト)」の一環として、2021年3月より段ボールジオラマ防災授業のプログラムをご活用いただいいています。