みなさんは「請戸小学校物語」という絵本を知っていますか?
東日本大震災の津波が迫る中、避難場所に指定されていた大平山(おおひらやま)までの2kmほどの道のりを歩いて非難した、児童と先生たちのお話しです。
10月5・6日、東日本大震災・原子力災害伝承館で行われた防災イベントに昨年に引き続きお声がけいただき、2日間、計4回のワークショップをさせていただきました。
今年はジオラマの範囲を少し拡げて伝承館の隣町の浪江町もエリアに入れ、いまは震災遺構となっている請戸小学校の児童と先生たちが体験した、あの3月11日の出来事をジオラマで辿りながら皆で考えました。
- 地震発生後すぐに避難を開始したこと
- 途中で子どもを探しに来る保護者もいたが、まずは避難を優先して全員で歩き続けたこと
- 避難場所に指定されていた大平山(おおひらやま)の上り口がわからない中で、少年野球のトレーニングで上り口を知っていた児童の先導で高台に上れたこと
- 津波が到達するまでの47分間で、混乱の中で学校を出て上り口まで約2kmの道のりを歩き通したこと
- そこから頂上まで山道を1kmほど上り、暗くなってから山の反対側へ下りて、避難所となっていた役場まで無事にたどり着けたこと
ジオラマを見ながら、まずは自分だったらどんなルートで避難するかを考えてもらい、その後ジオラマの上で実際の避難ルートを辿ってみました。
参加者からは「こんな山の際まで津波が入ってきたのか・・」「ほんとに間一髪だったんですね」「もしその少年がいなかったら・・」といった声が聞かれました。
災害時にそなえて避難場所を知っておくことはもちろん大切ですが、そこまでのルートを実際に歩いたりしてみることもとても重要です。避難が必要になる時は災害が起きていたり起こりそうなときなわけですから、未体験の事がらに対して素早く冷静な判断を下すのはとても難しいことです。皆さんもいま一度確かめてみてください。
震災遺構となった請戸小学校の見学順路の途中、学校の裏側から大平山がよく見えます。
物語の最後は次のように結ばれています。
「あなたにとっての大平山はどこですか。」
請戸小学校物語のサイトはこちら。
https://ukedo.com/